魚の感じる痛み
痛みを感じる? 感じない?
「魚は、痛みを感じるのか」この疑問は昔から議論されてきた謎の一つです。
17世紀には「人間以外の動物は痛みを感じない」と考えられてきました。
しかし、動物を飼ったことのある人はそうではないと分かりますよね。
20世紀以降には、魚の痛みについても盛んに研究が行われるようになってきました。
私たちには痛覚があるため、痛みを感じると「痛い!」と反射的に声が出て、場合によっては叫びます。
魚は痛みを感じても声を出しません。魚は痛そうな表情もしないのです。
もしかしたら、魚は痛そうな表情をしているのかもしれませんが、私たち人間にはそのような表情をしているとは分かりません。
例えば、低い海水温の中で泳いでいる魚は、人間の手に乗せただけでもやけどをしてしまいます。もし痛覚があるなら冬の日本海を泳げないのではと言う人もいます。
魚の身体の中のどの場所に痛覚があるのか、今も研究が行われています。
反応調べ
イギリスの大学では、ニジマスを使って実験をしました。
まず、ニジマスの下あごに酢、ハチの毒などを注射して、反応を調べました。
すると、注射しなかった時と比べてエラ呼吸の回数が増えたり、再びエサを食べるまでの時間が長くなったりしたのです。
- 下あごに酢、ハチの毒を注射する。
- 反応を調べる。
↓
エラ呼吸の回数 増えた
エサを食べるのに時間がかかった
ていうことは、痛みを感じてるってことじゃない?!
感じているのか?
注射したニジマスに痛みを抑える薬を与えた場合には、エラ呼吸の回数などは毒を注射しなかった時と比べて、大きな違いはありませんでした。
薬によって痛みがやわらげられたと考えてもいいかもしれません。
この結果から、現在「魚は痛みを感じている」という説のほうが有力です。
しかし、サメやエイなどの軟骨魚類では痛みを感じているかはわからないまま。
この研究はこれからも続くでしょう。
軟骨魚類とは骨の柔らかい魚のグループだよ。
ちなみに、17世紀ごろ、人間以外は痛みを感じないと言われていた頃は、魚だけでなく、犬や猫も感じないと言われていたんだ。
さすがにそれはおかしいね。
犬も痛いと、「きゃいんきゃいん!」って言うよね。
釣った魚を逃がすときは、やさ~しくしないとね。
痛いかもしれないから。