まるまる新聞   6号

オオカミが救った森

オオカミとシカの関係

アメリカ中西部にあるイエローストーン国立公園。ここではかつて、たくさんのオオカミたちが暮らしていました。オオカミたちはアメリカアカシカなどの動物を狩って食べていました。ところが、オオカミが国立公園周辺の牧場の牛を襲うことがあるため、多くの人たちがオオカミを邪魔者だと考えました。そこで多くのオオカミが殺され、20世紀の早いうちにいなくなってしまったのです。

オオカミが減少すると…

イエローストーン国立公園で野生のオオカミが殺された最後の公式記録は1926年でした。その後、オオカミの獲物となっていたアメリカアカシカや他の動物が増加し、その結果、植物に被害が出てしまいました。増えたアメリカアカシカは、森の若木や樹木の皮まで食べ、多くの樹木が枯れてしまったのです。
オオカミが果たしていた捕食者としての役割の一部はコヨーテが果たすことになりましたが、成獣のアメリカアカシカはコヨーテの捕食対象にはなりません。またオオカミと並びイエローストーンの生態系の頂点にいたグリズリーは雑食性で、アメリカアカシカを捕食することは少なく、いずれもアメリカアカシカの増加をおさえられませんでした。さらに、コヨーテの個体数が増加したことによって、コヨーテより小さな動物、特にアカギツネが減少してしまいました。
1978年に生物学者ジョン・ウィーバーはイエローストーンのオオカミは絶滅したと結論を出しました。

オオカミの再導入の意見

人々はこのままでは数十年後には森がなくなってしまうと心配しました。そこで、絶滅したオオカミを復活させようと考えました。
地元牧場主たちと環境保護団体は、再導入について何年も討論を続けてきました。
生物学者によって再導入のアイデアが議会に最初に提出されたのは1966年です。それらの生物学者は、イエローストーンのアメリカアカシカが危機的状況まで増加していると心配していた。しかし牧場主たちは、家畜が襲われることの問題をオオカミを疫病に喩えて、再導入に強く反対しました。

オオカミ再導入

牧場主は反対しましたが、話し合いを続け被害の補償制度も整えました。そして、ついに1995年にカナダのアルバータ州からオオカミが運ばれ、放たれたのです。
それから20年近くが立ち、オオカミを嫌がったシカは分散し、国立公園内から姿が減りました。そして、崩壊を心配された森は復活の兆しを見せ始めています。
森は復活したオオカミによって元の姿を取り戻しつつあるのです。

日本 

日本ではエゾオオカミやニホンオオカミが生息していたが、両種とも明治時代に絶滅してしまいました。他方で、昭和時代末期より山間部では二ホンジカやイノシシなどによる農作物や樹皮の食害などの獣害が問題になっています。

大分県豊後大野市が害獣駆除を目的として、オオカミの再導入を提案しており、遺伝的にニホンオオカミに近いとされるハイイロオオカミが候補に挙がっています。駆除効果が期待される反面、沖縄でのマングースの例のように生態系に悪影響があったり、オオカミが家畜や人間などを襲ったりする危険性も指摘されています。
日本においてオオカミは特定動物指定を受けていて、オオカミを許可なく扱うことはできません。

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